チェロの曲でも作曲者が怪しいのがあります。
フレスコバルディ作曲でカサド編曲といわれていたトッカータというチェロ曲。良い曲です。
情感たっぷりな序奏とその後のいきいきとした流れ、重音やハイポジションのクライマックスなどテクニックな見せ場もあります。カサドコンクールの課題曲にもなっていました。
この曲もある人によるとフレスコバルディ作曲か怪しいらしいのです。原曲が不明です。カサドは鍵盤曲から編曲したといわれていました。フレスコバルディはたくさんのオルガン曲チェンバロ曲があります。トッカータも沢山あります。でもこのチェロ曲の原曲は専門のチェンバロ奏者や学者で楽譜を見たり聴いたりする人がいないそうです。
どうもカサド自身が作曲ようです。私のユニバーサル版の楽譜はジローラモ・フレスコバルディ作曲カサド編曲となっていますが、楽譜によってはカサド作曲、フレスコバルディのスタイルによるトッカータと表記したものもあります。
この曲はちょっとエスプレッシーヴォに弾く方が曲想に合う気がします。カサド作曲だとすればピリオド楽器のアプローチは想定されていないでしょう。
同じ時期、バイオリンのクライスラーも数々の偽作をして古い作曲家の作品を「発見」したことにしていたらしいので、そういうのに倣ったのではないか、とか想像します。
パラディスのシシリエンヌもドゥシキンというバイオリニストが「発見」したことにした「偽作」だという話をブログに書いたことがあります。
http://ze.blog2.fc2.com/blog-entry-1240.html
カサドコンクールでもカサド作曲とはしていないみたいですね。いろいろなCDやコンサートの解説でもまだフレスコバルディの曲をカサドが編曲したという方が多いです。でもこの曲の譜面見ればバロックの曲とは思えないですね。
バイオリンにはさらにいろいろな偽作が多いですね。